ドキュメンタリー/教養

テレビ寺子屋#2379🈐

「がんがつなぐ 足し算の縁」
笠井信輔(フリーアナウンサー)

7月6日 土曜 5:30 -6:00 長野放送

テレビ寺子屋#2379🈐

フジテレビに33年間務め、56歳の時にフリーアナウンサーに転身した直後に「悪性リンパ腫」ステージ4と診断され、入院しました。4カ月半後、身体から癌がすべて消えた「完全寛解」という状態になり4年が経ちますが、3か月に一度病院に行き経過観察を続けています。 辛い治療を乗り越えるために、精神的な支柱は必要でした。私は「番組出演も講演の依頼も全部ダメになった」と、「引き算の気持ち」でいっぱいだったのです。
そんな時、南三陸にお住まいの方が、たくさんのメッセージが書かれた色紙を5枚も持ってお見舞いに来てくださいました。「今度は私たちが笠井さんにエールを送る番です」と書かれていました。この13年間、毎年被災地に支援活動や取材活動で訪れてできた「縁」が、私の応援という「足し算の縁」となり帰ってきてくれるとは思ってもみませんでした。そして、もう一つの足し算は、当時高校生だった三男が作ってくれた卵焼きです。
料理をしたことがなかったのに作ってきてくれて、食べたらおいしいんです。「こういう時はおふくろの味がいいだろう」と、おばあちゃんに習ってきたそうです。泣きました。ゲームばかりして私といつも喧嘩していた子がこんなに優しい気持ちを持っているということを知ったのも、自分ががんになったからでした。 「がんになったからもう終わり」ではなく、「がんになったからこうなれた」という人生を歩むことはできるのです。