植物の科学

趣味/教育

植物の科学 第3回

「発生・成長(1)植物の体制と胚発生」

10月18日 金曜 2:15 -3:00 放送大学テレビ

多細胞生物のからだは、数多くの細胞から成り立っている。これは細胞が無秩序に集まって出来ているのではなく、様々な種類に分化した細胞が、それぞれ適切な場所に集まり、いろいろな組織や器官を形成することによって出来ている。一般に動物のからだは、頭から尾を通る前後軸(または頭尾軸)や、からだの左右の軸、背中と腹を通る背腹軸といった体軸が胚発生で作られ、それらの軸に沿って決まった場所に特定の器官が作られる。
ヒトを含む哺乳類では、胚発生の過程で成体とほぼ同じ体制(ディープラン)を作り上げるため、胚発生以降もその体制にあまり大きな変化はみられない。それに対して、植物のからだは、 胚発生においてシュート(茎)や根の頂端と基部を結ぶ頂端ー基部軸、茎や根の中心から外側に向かう放射軸を形成した後、ごくわずかな器官のみを作り、成体のほとんどの部分を胚発生以降に形成する。
例えば、真正双子葉植物の場合には、胚発生では2枚の子葉、胚軸、幼根のみを形成するだけで、本葉(普通葉)や茎、花、側根や不定根は、発芽した後に形成される。 この回では、動物とは異なる発生様式を持つ植物の体制と胚発生について扱う。 【キーワード】頂端分裂組織、頂端-基部軸、放射軸、オーキシン

  • 出演者

    神戸大学大学院教授 深城 英弘