植物の科学　第11回

「植物間の相互作用ー競争、寄生、生殖隔離」

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植物の間には、競争、寄生、着生といった、多様な相互作用がある。隣接する植物どうしは、光や水をめぐって競争しあっている。成長速度や耐陰性が光をめぐる競争に大きく影響する一方で、根圏では化学物質を使った競争が繰り広げられている。他の植物に寄生したり着生したりして生きる植物のおどろくべき生活様式や、菌類を介した植物間の相互作用も注目されるようになってきた。 近縁な植物の間には繁殖をめぐる複雑な
種間関係も見られる。植物は種間交雑による適応度の低下を減らすために、生殖隔離を発達させている一方で、２種の近縁種が新たに出会うと、片方の種が他方の繁殖を著しく阻害する繁殖干渉が起こることが多い。種間交雑に伴う適応度の低下が深刻であるにもかかわらず、交雑が新たな種分化の契機になることもある。この回では、植物同士の多様な相互作用と、それがどのように植物の進化に影響したかを紹介する。

• キーワード

  競争、遷移、陽樹、陰樹、他感作用、寄生植物、着生植物、菌根、菌従属栄養植物、生殖隔離、繁殖干渉、交雑

• 出演者

  京都大学名誉教授　加藤　真