テレビ寺子屋

ドキュメンタリー/教養

テレビ寺子屋【喜びと寂しさと、空の巣症候群/高野優】

「喜びと寂しさと、空の巣症候群」
高野優(育児漫画家)

9月29日 日曜 5:30 -6:00 テレビ西日本1

テレビ寺子屋【喜びと寂しさと、空の巣症候群/高野優】

わが家の三姉妹は、全員成人を迎えました。 子育てに明け暮れていたころ、「子どもに手がかからなくなったら、あれもしようこれもしよう」と考えていたはずなのに、いざ成人を迎えたらそんな気持ちはなく、ただ寂しくて切なくてやる気も出ません。「なんだろう、このもやもやした気持ちは」と、ため息も多くなりました。 その時に気づきました。「これが、うわさの『空の巣症候群』だ」と。
いま私は壇上で話していますが、仮に私が二人いて、客席に座っているもう一人の私が「私はもう、必要がないのではないだろうか。子育てが終わり、何の意味があるのだろう」と質問するとします。壇上の私は、なんて答えるのだろうと考えました。これは、「空の巣症候群でつらいな」と思っている方に伝えたいことです。 「そこまで悲しく思える自分をほめてあげましょう。きっと慈しんで全力で育てたから芽生える感情です。」
そして、一番大事なのはここからです。 「何より、自分の力で道を切り開く子どもに育てたあなた自身を誇りに思いましょう」。 子どもは、ある日突然羽ばたきます。いったいどこにそんな大きな羽を隠し持っていたのかと思うほどです。 「一人の時間が欲しい」と思っていたあのころが、親として一番輝いていた宝物の日々だったと思います。